ひと旗あげたい、多少の儲けでも生活費の足しにしたいなどの理由でギャンブルに手を出すこともあります。本ページ【生活21】でも例示しましたが、そこで気を緩めると大きな落とし穴があります。
本事案は、競馬の情報提供会社に、一年半にわたり4,500万円もの料金を払って勝ち馬情報を教えてもらった。しかしその予想はことごとく外れ、身内にも知られることとなったため情報提供料などを返還請求したものです。
情報提供をした会社は、競馬に100%は無い。情報料が高いと思えば情報を買わなければよいだけのことである。情報を買うかどうか、いくら馬券を購入するかは最終的にはすべて本人の任意の判断であるなどの理由で、不法行為成立の余地は無いと主張しました。
これに対して裁判所は、日本中央競馬会や国民生活センターでも「必ず当たる」、「確実に儲かる」など巧みな勧誘、詐欺的な不当な勧誘で誘う競馬情報提供サービスに対する注意を呼びかけている。競馬情報が確実である旨を断定的に述べたとまではいえないとしても、少なくとも確実性の高い情報を提供する旨をもちかけたことは優に認めることができる。
信用性も有用性もない競馬情報をさも確実性の高い情報であるかのように装い、わずか一年半程度の期間中に合計100回、総額約4,500万円もの多額の送金をさせるに至った詐欺行為であって、損害賠償責任を負うべき不法行為にあたるとしました。
結論として、情報提供会社に対して4,942万円の損害賠償と、その1割の弁護士費用を支払うよう判示しました。
先の【生活21】の競馬投資ソフトの事案もそうですが、最近はインターネットやSNSがきっかけとなった詐欺まがいの手口が横行しています。本判例で裁判所は、被害者が軽率であるといわざるをえないとしつつ、不法行為の悪質性が認められ、多額の損害賠償が認められました。
しかし、一般的に損害額が少ない場合には、裁判までしてとり戻そうとは思わないでしょう。さらに、本事案は会社ぐるみで詐欺行為を行ったので相手方を特定できましたが、会社を装って個人が詐欺行為をしたときは、そもそも誰に請求すべきかが問題となります。なかには連絡がとれなくなるケースや、無い袖は振れないと居直られることもあって時間がかかります。
また、被害者側がいくら相手が詐欺をやったと主張しても、グレーゾーンに近い部分があるため刑事事件として立件するのは大変です。いずれにせよ、大事なお金を氏素性も分からない相手に払ってしまった後の始末は、とても大変であると注意してください。
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