【事 案】 投資、資産運用ソフトの購入には問題がないか?  

【結 論】 SNS(会員制交流サイト)を使ってソフトを販売した訪問販売業者に、業務停止命令が出されました。(東京都の業務停止命令H24.3.22報道発表資料)

 東京都が公開しているのと同様の被害に遭われた方からの依頼で、クーリング・オフと代金返金受領代行を受託しました。注意喚起のため、その手口を紹介します。東京都が公開している資料へのリンクは前記のとおりですので、リンク先の下の方にある相談事例も参考にしてください。
 まさにリンク先の「勧誘行為等の特徴」と同様の手口で、競馬資産運用ソフトを70万円で購入させられた女性(仮称:A子さん)から購入3日後に依頼があり、早速内容証明でクーリング・オフ手続をしたのですが、実際に返金されたのは購入してから約40日も後でした。

 当職が扱ったこの事案で悪質だったのは、販売業者(仮称:X男)と組んでA子さんを取り込んだエージェント(仮称:Y子)が、A子さんが銀行ローンを組む間ずっと背後から監視していたこと。Y子がLineを使って、A子さんに対して行政書士にクーリング・オフを依頼したことを責め立ててきたこと (全国の行政書士を敵に回す行為です) 。実体の無い会社を装ってソフトを販売したことなどです。
 X男は、前記業務停止を受けた業者の仲間だったとみられ、相変わらず同じ訪問販売を続けていたと考えられましたので、クーリング・オフとともに、A子さんとの連絡を一切絶つこと、A子さんの個人情報を全て抹消廃棄することを求めました。

 A子さんは、当職に依頼する前にX男と会ってクーリング・オフする約束をしていたようですが、仮にX男と会っていたら、解約を妨害されていた可能性が大きいと思われます。そうなると当該ソフトを運用するために、ソフト購入代金とは別に馬券購入費用をX男に預ける羽目になって、被害はさらに大きくなっていた可能性があります。そんなに儲かる優秀なソフトなら、自分らだけでコソッとおやりになれば良い話でしょう。
 これらを考えると、A子さんの損害は年利12%という銀行ローン1回分の利息程度で済んだので、まだ傷は浅かったと言えます。またクーリング・オフ後、X男はなかなかこちらからの電話にも出ず、連絡をとるにもひと苦労しました。

 今回の事案処理にあたっては、最寄り警察署への届出、東京都消費者センターへの相談なども行って無事に購入代金は返金されたわけですが、クーリング・オフしたからといって、返金が保証されるわけではありません。
 相手が逃げてしまったり、手持ち現金がなければその後の処理がとても大変になります。不当販売の被害に遭ったと感じたときは、直ちに迷わず最寄りの消費生活センターや専門家に相談されることを強くお勧めします。

 また今回の事案では、SNSを通じて知り合った女性同士の関係から取り込まれてしまいました。A子さんは競馬などは一度もしたことがなく、お金の損得よりも長時間にわたって事実上拘束され、説得されて根負けしたようですので、疑わしいと感じたらきっぱりと断ってその場から立ち去る勇気も必要です。同性だからといって、安易に気を許さないことにも十分ご注意頂きたく思います。

なお本事案を当サイトに掲載することについては、あらかじめご本人A子さんから承諾を頂いております。

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