介護保険の利用がだいぶ普及してきました。助かっている家庭も多いと思いますが、介護に係わるトラブルは今後ますます多くなるものと思われます。介護士が足りないという問題もあり、老人の送迎から日常生活の介助までキメ細かなサービスを提供するのも大変だと思われます。
本事案では、介護施設はその専門性ゆえに責任をもって注意義務を果たさなければならないと指摘されました。
裁判所は、意思能力がある老人が手洗いを使うときなど、非常にナイーブな場面で介助を断った場合であっても、施設の職員は老人に介助の必要性を説得するなどの義務があった。それを怠ったのは介護サービスを専門的に提供すべき施設側にも落ち度があったとの理由で7割の過失を認めました。
もちろん、高齢者であれ人格権にもとづく自由意思は尊重されるべきで、手洗いまでついてこられるはイヤだと言われれば介護士のとった措置が理解できなくもありません。しかし専門性に見合った義務を果たしたかとの側面から問われれば、過失責任は負わざるをえなくなるということでしょう。
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