借金がとても払いきれないよう額に達したときには、裁判所に破産手続開始の申立てができ、それが認められれば強制執行や差押えから解放されます。負っている債務が全てゼロになる免責制度もありますが、どんな場合でも債務を踏み倒してすべて免責されるかというと、そう甘くはないのです。そして免責が認められなければ、資力が回復したあとで残った借金は弁済しなければなりません。
どのようなとき免責が認められないかについては条文に書かれていますが、そのなかのひとつに浪費又は賭博その他の射幸的行為をしたことがあります。
この事案では、20歳になったばかりの女性がクレジットを使って100万円相当の和服や装飾品などを買ったことが問題となり、浪費にあたるとされて免責されませんでした。
破産制度の趣旨を、破産者の社会復帰や生活再建にあるとすれば免責は認められやすくなるでしょうし、破産者を経済活動から排除する趣旨だと解釈すれば認められにくくなります。裁判所は、本事案で免責は誠実な破産者に対する特典だと判示しましたので、どちらかといえば前者に近いと考えられます。
そうだとすれば、免責が認められるかどうかは破産の態様、すなわち破産原因や破産者の態度が、より重視されることになります。この事案のような浪費や賭博だったのか、あるいは破産原因が連帯保証という他人の債務のとばっちりだったのかなどでも異なるでしょう。また破産時の年齢、能力、生活再建にあたって期待される努力の程度なども免責を認めるうえで考慮されることになります。
免責されるかどうかを一義的に決めず、ケースに応じて柔軟に判断することは、法の下の平等の理念にも叶っていると思われます。
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