【事 案】 仕事を紹介してやるという言葉を信じて教材を買ったが、仕事がもらえなかったら業者の責任を問えるか?  

【結 論】 支払った代金を返してもらえる可能性はある。(東地判H18.2.27)

 多少なりとも生活費の足しにしたい。あるいは年金制度も怪しくなってきた昨今、何か手に職をつけておきたいとのニーズは非常に強くなってきていると思われます。
 この事案はネット関係の仕事を紹介してもらう代わりにパソコンとプリンター、学習教材を買い、簡単な試験に合格して資格をとるとの内容でした。しかし試験の内容は非常に難しく、また合格しなくとも仕事を紹介してもらえるかの説明があったのに仕事は紹介してもらえなかったので、内職詐欺商法、訪問販売等に関する法律違反、特定商取引に関する不法行為で訴えられたもの。

 裁判所は、相当程度数の会員が当該業者からデータ入力などの仕事を与えられていたことを認め、内職詐欺商法ではないとしました。
 しかし試験が難しいか易しいかについては、単に試験の難易の問題ではなく、商品を購入すれば容易に在宅ワークの斡旋や委託を受けられ、少なくとも商品の割賦払金の返済ができるような説明を営業マンがしたことに問題があるとして、旧訪問販売法の不実告知にあたるとしました。
 さらに旧訪問販売法では、営業のために若しくは営業として商品を購入した場合には同法の適用を受けないとされていますが、本事案で得られた在宅ワークの報酬が多くとも月額数万円程度だったことから、極めて小規模かつ営利性の乏しいものだったので、営業のために若しくは営業として行われたものとは言えないとされ、加えて特定商取引法上の不実告知と概要書面の不交付も認定されています。
 以上、本事案では内職詐欺商法は認められなかったものの、旧訪問販売法、特定商取引法に違反する不法行為が認められ、使用者責任を負うとされて複数の被害者にそれぞれ数十万円の損害賠償が認められています。

 いずれにしましても、ウマイ話には必ず裏がありますので用心すべきです。
 参考として消費者庁及び経済産業省が、業務停止命令等で処分した事業者のリスト(pdf)を紹介いたしますので、その手口などをご確認ください。

 もうひとつ、このような事案で注意しなければならないのは、クレジット会社が間に入った場合です。
 販売会社と請求してくる会社が違うので、もう代金を払うしかないと諦める方も多いと思いますが、いくつか手段がありますので全部自分の責任だからなどと諦めないようにしましょう。

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