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【事 案】 死因贈与された者が、贈与する者より先に死んだときに財産をもらえるか?

【結 論】 死因贈与は契約なので、もらう側が与える者より先に死んでも財産をもらえる。(京地判H20.2.7)

 あなたが死んだら、大変お世話になった友人にアパートを贈与したいと思ったら、遺言書に書くべきか、死因贈与契約にするかどちらにした方がよいでしょうか。
 本事案の結論からすると、死因贈与の方がよいといえます。
 贈与も死因贈与も、どちらもあなたが死亡することで効力が生じ、友人がアパートを取得するのは同じです。しかし民法には、遺贈を受ける側(受遺者)が遺贈する側(遺言者)よりも先に死んでしまうと、その贈与は効力を生じないとされているのです(994条一項)。しかしその規定には遺贈と書かれているのみで、死因贈与については書かれていません。死因贈与された友人が、あなたより先に死亡したとき贈与は無効になってしまうのでしょうか、それが問題となります。

 本事案では、友人に死因贈与で不動産を贈与したが、友人が贈与者より先に死んでしまった。その後あなたが亡くなって、あなたの子がその不動産を相続したとして登記した。そこで友人の子が、あなたの子に当該不動産の所有権移転登記を請求をしたものです。

 裁判所は、遺贈は一方的意思表示によってなされるものであるから、受遺者(もらう側)が遺言者(与える側)より先に死亡した場合には、遺言者は当該遺贈の目的物を自己の意思に従って再度処分できるとするのが相当である。
 しかし、死因贈与は贈与者(与える側)と受贈者(もらう側)との契約である以上、贈与者の意思で一方的に撤回することはできない。うえ、契約成立の時点において、受贈者には贈与者の死亡によって当該死因贈与の目的物を取得できるという期待権が生じているといえる。
 受贈者が先に死亡したとしても、その後、贈与者が死亡した場合、死因贈与は効力を生じ、当該死因贈与の目的物は受贈者の遺産になると解される、として当該不動産の所有権は友人の子にあり、あなたの相続人に対する登記移転請求を認めました。

 これを理解するには、死因贈与と遺贈は基本的に別物だと考える必要があります。すなわち民法では、死因贈与は契約の章にあり、遺贈は遺言の章にあるのです。このため死因贈与は与える側ともらう側の意思の合致に基づくのに対して、贈与は与える側の一方的な意思表示で成立してしまうのです。もっと分かりやすくいえば、死因贈与は契約書で、遺贈は遺言書でするということになります。
 そうすると、死因贈与だともらう側には貰えるという期待がありますから、これは与える側が一方的に反故にはできない。さらにもらう側が与える側の生活の面倒をみるとか、何かしら与える側に貢献する事情などがあれば、なおさらでしょう。
 これに対して遺贈は、与える側が一方的に決めるはなしですから、もらう側の期待もさほど大きくなく、与える側の気が変わってしまえばそれまでのこと。

 以上のことからすると、自分が死んだら友人に是非ともアパートをあげたい、それが友人の子であっても構わないなら、死因贈与という契約で約束しておくべきです。
 このようなことが生じ得るのは、相続人にあたらない友人、甥や姪、婚姻関係にない妾やその子に財産をあげたいなど、事案によって色々あるでしょう。
 たしかに遺言書をつくるのは大切ですが、すべてそれで自分が思うとおりに解決できるとは限りませんので、遺言書でする遺贈と、契約書でする死因贈与の違いを踏まえて、自分の財産の行く末を考える必要があります。

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