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【事 案】 名まえが社会通念上不適切だとの理由で、出生届けが受理されないことがあるか?

【結 論】 出生届けの受理を、拒否されてもやむを得ない場合がある。(八支審H6.1.31)

 子どもには個性豊かに育ってほしい、世間から注目される人間になってほしいなど親の子に対する期待や愛情表現の方法は様々です。そして他とはちょっと違う名前をつけたいと考えるのも、その現れのひとつかと思われます。

 本事案は、世間でもかなり有名になった悪魔ちゃん事件の顛末で、裁判所は子どもの立場からみれば命名権の濫用にあたり、悪魔という名前は不適法だから、出生届けの受理を拒否されてもやむを得ないとしました。
 親側は、この命名によって人に注目され刺激を受けるから、子はこれをバネにして向上する。子にとってマイナスかもしれないが、チャンスになるかもしれないと主張しました。これに対して裁判所は、その名前による刺激をプラスにはね返すには、世間通常求められる以上の並々ならぬ気力が必要とされる。当該子どもにそれが備わっている保証は何もない。いじめの対象となって、社会不適応を引き起こす可能性も十分あり得ると判示しました。

 その後、親側は市に対して阿久魔ではどうかと打診したが拒否され、結局さらに別の漢字を使い、アクちゃんで決着したという次第です。
 悪魔ちゃんとまではいかなくとも、特徴ある名前を子につける親が最近多くなってきたせいか、事件から20年も経つと当時のことは忘れ去られてしまうのか、いまでは特徴ある名前がむしろ特徴ある名前ではなくなってしまった気がします。ただ、特徴ある名前の功罪について気になる研究結果もあります。米国のシッペンズパーグ大学の研究者からは、あまり一般的でなかったり、異性的な名前を付けられた子どもほど、人種に関係なく少年犯罪に関わる傾向が強いといった調査結果が報告されています。

 ちなみに名前の変更をするには、家庭裁判所に名の変更許可申立てをして許可を得る必要があり、社会生活上著しい支障がある場合にしか認められません。営業上の目的、同姓同名、僧侶、珍奇・難解・難読、永年使用、姓名判断、使用できる漢字、在留資格者、性別変更などが許可基準ですが、申立てが却下されたケースも多く、なかなか認めてもらえないのが実情のようです。
 いずれにせよ子に感謝されるような名前を、愛情込めて考えてあげたいものです。

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