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【事 案】 子どもを入籍するためにした婚姻は、結婚する意思がなくとも有効になるか?

【結 論】 婚姻は有効にはならない。(最判S44.10.31)

 結婚することを前提に5年間もつきあい、その間3回の中絶をしたが婚姻届けは出さなかった。4回目の子どもができたのでこれを嫡出子とするため、後に離婚するとの約束のもとに、形式的に婚姻届けを出した。

 ところが女性側が約束に反して離婚を拒んだので、男性は婚姻無効の訴えを起こしたもの。
 裁判所は、婚姻意思を欠くとの理由で男性側の主張を認めました。
 子の福祉と女性側の生活の安定を考えれば、道義的にみて信義則を使ってでも婚姻関係を認めてもよさそうな事案だとも思えます。
 しかし裁判所は、届け出だけでは婚姻の成立を認めませんでした。あくまでも当事者間に婚姻の意思がなければ、届け出だけでは婚姻の効力は生じないということです。
 ここが婚姻と離婚の大きな違いです。結婚すれば相互に協力と扶助の義務を負うほか、日常家事について夫婦は連帯責任を負います。つまり婚姻とは、単に夫婦間だけの問題ではなく、夫婦の周りを取り巻く社会に対して、夫婦という身分や経済上の責任をもつことを宣言する制度だといえます。

 一方の離婚は、夫婦という社会的身分・経済関係から解放される行為ですから、婚姻ほど当事者の意思の合致は重視されません。近時取り沙汰されている夫婦別姓は、子の身分の安定や日本の慣習の維持といった道徳規範のほか、夫婦を相手に取引する業者の取引安全などの問題にも配慮する必要があります。
 なお、この事案では夫への慰謝料請求は認められたようです。先にも述べたように具体的な事情からみて、当然のことと言えましょう。

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