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【事 案】 生活困窮のために父親不明の子までもうけた妻に対して、離婚請求ができるか?

【結 論】 夫の離婚請求が認められる可能性がある。(最判S38.6.4)

 離婚原因となる不貞行為を、どう解釈するかが問題となった事例です。
 夫から生活費も渡されず、子どもひとりを抱えて職を転々としたあげく、どうにも生活できずに体を売って父親不明の子どもをつくってしまった。これに対して夫側から離婚請求された事案でした。生活苦にあえいでいたとの事情があったとしても、生活費を得るために父親知らずの子まで設けたのは、やむを得ない事情とはいえないとの理由で裁判所は夫の離婚請求を認めました。
 夫婦関係と財産は別個の問題であり、離婚に伴う妻の救済は財産分与の請求として別途考慮すれば足りるという考え方を基本としたようです。もっともこの結論に対しては、そもそもの原因は夫が生活の面倒すら見なかったことにあるのだから、不貞の解釈があまりにも裁判所の個人的道徳観に偏りすぎたのではないかとの批判もあります。

 近時ならどんな結論が出るのでしょうか。道徳的な見方、道義的な見方など様々ありますのでいずれを支持するかは皆さんに委ねることとします。
 また不貞の解釈については、自動車教習所の教員である夫が女子教習生を強姦し、懲役刑に処せられた。そこで妻が離婚を請求した事案があります。夫側は、不貞行為とは自由意思によるもので、強姦は自由意思に基づくものではないから離婚請求は認められないと主張しました。裁判所は、不貞とは相手の自由な意思にもとづくかどうかは問わないとの理由で妻の離婚請求を認めました。(最判S48.11.15)
 この男性が主張した自由意思にもとづかない強姦だから不貞ではないというのは、ちょっと身勝手にすぎる主張とも思えるのですが。

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