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【事 案】 マンションに居住していない不在組合員から、組合費とは別に住民活動協力金をとることができるか?

【結 論】 管理組合業務を分担することが困難な不在組合員に一定の金銭的負担を求め、協力金をとることは許される。(最判H22.1.26)

 マンション管理組合の役員というのは、実に厄介な仕事です。
 保守点検や修繕、会計処理をはじめ総会の手続などといった通常業務をこなさねばなりません。さらに、ひとたび不良居住者などの問題が起きたら、自分の生活や仕事を放っぽりだしても事にあたらないと、マンションの存亡にも関わる事態を引き起こしかねません。
 体験として申せば、役員はできれば避けて通りたい。
 自主管理で費用を安くあげたいならば、所有者全員が持ち回りで役員を務めるのが基本ですが、建築からある程度経ったマンションでは所有者が全て住んでいるとは限りません。空き室になっていたり賃貸に出したりしているケースも多くあります。

 本事案は建物4棟、総戸数約850戸という比較的大規模なマンションが、建築から40年以上経って180戸程度の不在組合員をもつことになった。不在組合員らは現実にマンションに住んでいないのですから、事実上組合活動には参加できません。
 そこで不在組合員と居住組合員の平等を図るため、月額17,500円の組合費に加えて、2,500円(当初5,000円の予定だった)を住民活動協力金という名目で徴収すべく総会で決議した。しかし一部の不在組合員が、決議は無効で協力金の支払い義務は無いと申し立てられたものです。

 第一審の地裁では組合側の主張が認められ、組合費とは別に協力金を徴収できるとされました。しかし原審の高裁では、役員の報酬に協力金が充てられ、これを不在組合員にのみ負担させるべき合理的根拠は無いとの理由で、組合側の主張は認められませんでした。
 この高裁判決を、最高裁はひっくり返しました。
 不在組合員は役員になる義務を免れているだけでなく、組合活動について日常的な労務の提供をするなどの貢献をしていない。その一方で、マンションの保守管理や良好な住環境の維持といった、居住組合員の活動による利益のみを享受している。したがって一定の金銭負担を不在組合員に求め、居住組合員との不公平是正をしようとしたことには、必要性と合理性が認められるとして、組合側の主張を認めました。
 また協力金の額についても、不在組合員が支払うべき金額は、組合費を含めても、居住組合員が負担する額の15%増しの月額2万円に過ぎず、不在組合員が受任すべき限度を超えるとまではいえないと判示しました。

 これで不在組合員と居住組合員の不平等については一応の決着がついたと思われますが、他にもまだ問題は残っています。
 実質的に組合活動が困難な高齢者や、組合活動に消極的な組合員と一般の組合員の間の不平等です。
 居住している場合には、不在組合員とは異なり、何らかのかたちでマンションの保守管理や良好な住環境の維持には貢献しているとも言えます。例えば共用部の蛍光灯が切れているなどでも良いのですが、建物のどこかに不具合があったときに担当役員に報告してくれる。あるいはマンション内や近隣でウロついている不審者を見かけたら、それとなく声をかけてくれるといったことです。
 しかしやはり自分の所有物なのですから、相応の貢献は求められるべきでしょう。戸建てであっても建物の保守管理や住環境の整備は必須であり、マンションに限ってその怠慢が許されるとしたら不平等のそしりは免れ得ないでしょう。

 高齢の居住者にはある程度の配慮は必要ですが、あまりにも組合活動に消極的で一定期間役員になっていないような者に対しては、協力金に準じて金銭を徴収する措置が必要かもしれません。

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