全画面で読む     全画面を閉じる
【事 案】 借地権付きの家を買ったが擁壁が壊れて家を撤去せざるを得なくなった、誰に何を請求すべきか?

【結 論】 土地の賃貸人である土地所有者に、損害賠償請求できる。(最判H3.4.2)

 借地権付きの家を買ったところ、地盤が沈下して家が傾いたのでその家を諦めざるをえなくなった。家一件分の損害が発生したのですが、それを建築業者に請求すべきか、販売業者かあるいは土地の貸し主に請求すべきか悩ましいところです。

 本事案では、家の買主は建築業者に損害賠償を請求しましたが、裁判所は、建物とともに売買の目的物とされたのは敷地そのものではなく、賃借権だから建築業者が土地についてまで当然に担保責任を負うものではないとして、建築業者に対する請求を認めませんでした。
 では、誰に対して請求すればよかったのか。地盤そのものに問題があるなら地主に責任がありそうですし、家を建てるときには建築業者は少なくとも地盤ぐらい調べているだろうと考えれば、建築業者に責任がありそうにも思えます。また、販売業者が開発計画に関わっていたのならば販売業者に請求してもよさそうです。

 そこでまず考えなければならないことは、建物の所有権(物権)と借地権(債権)は別個の権利だということです。
 建物そのものに問題があるときには、建築業者の責任が大きくなるでしょうし、土地そのものに問題があるときには地主の責任が大きくなります。とくに借地の場合には、地主には借地人が使用収益できるように土地の状態を維持する責任があります。

 本事案では、敷地の擁壁には水抜きすら無かったという事情があり、土地についての欠陥が大きかったので、裁判所は建築業者には責任は無いと判断したものとみられます。もっとも、先に述べたとおり建築のプロである建築業者が家を建てるときには、敷地の状態を把握する責任があるはずですので、建築業者も責任を負うべきだともいえます。その場合には、地主と建築業者の共同不法行為(不真正連帯債務)として責任追及ができたのではないかと考えます。

 ちなみに、これが賃借権ではなく地上権(物権)だったとすれば、地主は責任を負わなくてもよく、原則として家を建てた地上権者が自分で修繕しなければならなくなります。

当事務所がお手伝いします借地権付き建物売買契約書作成、損害賠償の申し入れ、示談・合意書作成