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【事 案】 注文よりも安全性が小さな家を設計・建築されてしまった、損害賠償請求ができるか?

【結 論】 瑕疵の修補に代えて損害賠償を請求し、建築費と相殺できる。(最判H15.10.10)

 大きな地震に耐えられる丈夫な家を建てたいと考え、設計建築業者に対して一般より堅固な構造にしてほしいと要望した。しかし要望にも関わらず、標準的な設計で建物を設計・建築されてしまった事案です。
 業者側には、少なくとも注文者の了解を十分得ないで設計・建築してしまった落ち度はありますが、完成した建物に瑕疵があるとまで言えるでしょうか。構造上は当時必要とされる基準は満たしているのですから、安全上の問題はなく瑕疵にあたらないとも思われます。また経済性からいえば、注文者のためにより経済的な建物をつくったとも言えます。

 そこでまず、請負契約の本質から考えてみると、請負契約は「瑕疵無き仕事完成義務」にあります。注文者の丈夫な建物にしたかったとの意思からすれば、請負の本旨に反していることになります。裁判所は建物には瑕疵があると認めましたが、そのような請負契約の本質を重視したものとみられます。

 では建物に瑕疵があるとき、注文者はどんな請求ができるのでしょうか。民法上、土地建物に係わる請負契約では、目的物が完成してしまうと契約の解除は認められません。業者側の負担があまりにも大きくなりすぎるからです。ただし判例では、建物全体に多数の欠陥があって、安全性や耐久性に重大な影響を及ぼすときには、瑕疵担保責任で建て替え費用相当の損害賠償が認められています。
 そうなると実質的に契約解除と同等の効果が得られることになります。(最判H14.9.24)

 また余談ではありますが、本事案のような場合に損害賠償請求を瑕疵担保責任でするのか、債務不履行責任あるいは不法行為責任でするのかといった問題があります。
 それぞれ一長一短がありますので、この案件ではどれで行こうかなどと思いを巡らすのは、法律に関わる者として楽しいことでもあります。

当事務所がお手伝いします請負契約書作成、瑕疵担保責任等による損害賠償の申し入れ、示談・合意書作成