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【事 案】 手付解除した場合、不動産業者は仲介手数料を請求できるか?新ネタ

【結 論】 仲介業者である宅建業者は、相当の報酬額を請求できる。(福岡高那覇支部判H15.12.25)

 不動産の仲介による報酬金は、売買契約が成立し、その履行がなされ、取引の目的が達成された場合について定められているとされています(最判S49.11.14)。
 たしかに、手付解除したのに仲介手数料を請求されるというのは、合点がいかないとも思われます。例えば、5,000万円の不動産で手付金が10%のとき、買主が500万円の手付金を放棄したとしても、さらに156万円の仲介手数料を払わなければならなくなります。この負担は大きい。

 本事案は、約5億円の土地売買で、買主は2,000万円の手付を払って売買契約をした。その後、買主は土地代金が納得できないとの理由から、右手付金を放棄して売買契約を解除した。
 解除に伴い不動産業者は、買主に対して1,600万円余の仲介手数料を請求したものです。

 不動産業者の請求について、裁判所は消費税を含む1,000万円を認めました。
 不動産業者の仲介手数料請求を認めるにあたり、裁判所は、不動産業者は通常の場合以上に格別の労をとったか、格別の出捐をしたか、解除されたことにより著しい損害を被ったという事情は見あたらない。しかし、報酬について特約がない場合でも、商法上相当の報酬額を請求できるとしました。

 先に述べたように、不動産の仲介手数料は売買契約が成立することを前提とすべき性格のものです。手付解除という制度がある以上、売買契約が解除されるリスクがあるのですから、その負担は不動産業者が負うべきとも思われます。
 しかし契約不成立とはいえ、不動産業者も相応の労を払ったのだから、半額程度の仲介手数料は請求できるというのが裁判所の判断のようです。

 ここで注意すべきは、手付解除をする場合、手付金だけ諦めればよいと思わないことです。また、不動産業者が契約を急かすようなことをしていないか、特約に仲介手数料についてどう書かれているかをよく見極めて契約することです。さらに物件の内容だけにとらわれず、信頼できる不動産業者かにも注意を払う必要があります。

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