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【事 案】 買って12年住んだ建物に手抜き工事があることを知ったとき、瑕疵担保による損害賠償請求ができるか?

【結 論】 消滅時効が完成しているので、瑕疵担保による損害賠償請求はできない。(最判H13.11.27)

 瑕疵担保を理由に賠償請求されると、売り主は無過失責任を負わなければなりません。瑕疵担保責任は消費者にはとても有利な制度だと言えます。
 買い主は、買ったものについて、通常人が普通の注意をしても見つけられない瑕疵があったということを主張するだけでよく、その原因を証明する必要は無いのです。ちなみにこれを不法行為で処理しようとなると、買い主が売り主の故意・過失と行為と損害の因果関係を証明しなければなりません。また債務不履行で処理しようとすれば、債務不履行と損害の因果関係を証明する必要があるので少しやっかいです。
 ではどんなときでも瑕疵担保責任が使えるかと言うとそうではなく、時効にかかるかどうかが問題となります。

 本事案は、建物の手抜き工事といった物理的な瑕疵ではなく、建物の敷地が都市計画道路予定地にあたっていたという法的な瑕疵でしたが、最高裁は瑕疵担保責任が消滅時効にかかっているとの理由で、賠償請求を認めませんでした。
 どんな場合に時効にかかるかというと、買い主が瑕疵を知ってから1年以内に売り主に賠償請求すること。さらに、その請求が建物の引渡しを受けてから10年以内でなければなりません。
 本事案では12年住んでいるのですから、少なくとも引渡しから10年を越えているので賠償請求できないことになります(除斥期間)。また、例えば住み始めてから5年目に手抜き工事の瑕疵を知ったとしても、2年間そのまま放置して7年目に請求したのでは認められません。

 このような時効制度がある理由は、永久に瑕疵担保責任を主張できるとすれば売り主に過大な負担を課すことになり、建物の引渡しを受けているのであれば、通常の消滅時効の期間(10年)内に瑕疵の発見を買い主に期待しても不合理ではないことを裁判所は理由に挙げました。
 ただ10年以内に気付けといっても、地震や台風をきっかけにして瑕疵を知ることもあるでしょうから、買い主にはちょっと酷な気もします。仮に消滅時効後に主張するとすれば、瑕疵担保ではなく不法行為責任や保険請求を使うことも考えられますが、いずれにせよケース・バイ・ケースで対応する必要があります。
 例えば、建築業者が故意に鉄筋を少なくしたといった明らかな手抜き工事の場合には、不法行為責任だと20年となりますので、不法行為で処理して損害賠償を請求できる可能性があります。

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