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【事 案】 公告を見て注文した後で売主が倒産したとき、公告会社に賠償請求できるか?

【結 論】  公告を掲載した新聞社や雑誌社、公告を受注した会社に請求できることがある。(最判H元.9.19)

 インターネット公告が伸びてきていますが、新聞や雑誌の広告も生活をする上で欠かせない存在です。
 なかには怪しげな雑誌の怪しげな公告もあります。取引をした相手の会社に直接責任追及できれば良いのですが、相手が倒産してしまったときや逃げ回っているときに救済されるみちはあるのでしょうか。
 簡単に諦めるのも口惜しい。

 そこで公告を掲載した新聞や雑誌、あるいはその公告を扱った広告代理店に損害賠償請求できないかという問題です。
 この事案は、いくつかの新聞に6階建てマンションの販売公告が何度か掲載したが、売主の建設会社が倒産してマンションは建設されなかった。そこで公告を見て、完成前のいわゆる青田売りマンションに応募し、内金を払ってしまった買主が新聞社と広告代理店を訴えたものです。

 倒産した建設会社は、当該マンション販売までの約10年の間に度々商号を変えたりするような会社で、宅地建物取引業法や出資法に違反しているのではないかと東京都や警視庁から疑われていました。
 しかし同法違反は未だ嫌疑の段階で、それが表沙汰になると既に代金の全部又は一部を支払った多数の購買者による取り付け騒ぎが懸念されるおそれがあった。そうなると建設会社の再建は覚つかなくなるので、東京都や警視庁はあえて極秘裏に内偵するにとどめ、公表していなかったというものです。
 そのような世間一般に知られていない事情があっても、新聞社や広告代理店は責任をもたなければならないのか。仮に責任があるとしたらどんな要件のときに責任をとらなければならないのかが争われました。

 この点について裁判所は、新聞広告に対する読者の信頼は、高い情報収集能力を有する新聞社の報道記事に対する信頼と全く無関係に存在するものではない。
 公告媒体業務に係わる新聞社並びに同社に広告の仲介・取次をする広告社としては、新聞広告のもつ影響力の大きさに照らし、公告内容の真実性に疑念を抱くべき特別の事情があって、読者らに不測の損害を及ぼすおそれがあることを予見し、又は予見しえた場合には、真実性の調査確認をして虚偽広告を読者に提供してはならない義務があるとしました。

 つまり、公告においても新聞という社会からの信頼に見合っただけの責任がある。よって読者に損害を与えることが予見しえるような、真実性に疑念あるときには公告を掲載してはならないとお叱りを受けたものと理解されます。
 もっとも本事案では、前述のとおり公告掲載の時点では、未だ建設会社の違法行為は東京都や警視庁の内偵が行われている段階であり政策的に公表は控えられていた。
 公告の真実性について一応の調査確認義務はあるが、本事案はこれを怠って掲載したものとはいえないとして、新聞社と公告代理店に対するマンション購入者からの損害賠償請求は認められませんでした。

 結局、損害賠償については新聞社と広告代理店の責任は認められませんでした。
 調査確認義務は、新聞という高い信頼性と大きな影響力をもつメディアだから課された責任とも思われる内容ですが、信頼性が新聞よりも小さいからといって虚偽広告を掲載してもよいということにはなりません。

 例えばコンビニなどで売られている怪しげな雑誌だからといって、あるいは責任の所在が明らかでないネット上で○○必勝法などと明らかに虚偽と思われるような公告については、雑誌社やプロバイダの責任を問われる可能性があります。
 メディアの信頼性や影響力と公告の虚偽は相対的に判断しなければならない問題ですが、公告を掲載する場合には何らかの調査確認義務があると言えます。
 虚偽広告での被害ついては、広告した企業だけでなく掲載を許したマスメディアやプロバイダも、損害賠償請求される可能性があると思われます。

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