全画面で読む     全画面を閉じる
【事 案】 社交ダンス教室がレッスンで音楽を流すときに、著作物使用料を払わなければならないか?

【結 論】 営利を目的とする場合には、払わなければならない。(名高判H16.3.4)

 著作権に関する裁判の多くは地裁、高裁どまりが多いく講学上の判例とは言ないので研究がおろそかになりがちです。しかし著作権については、インターネットなど新しいメディアでの問題も増えてきていることから、注目すべき事例があればこれからも丁寧にフォローしていきたいと考えます。

 さて、この事案は買ったCDをダンス教室で使う場合でも、著作物使用料を払わなければならないのかという問題です。お金を払ってCDを買ったのだから、小規模なダンス教室でレッスンに使うようなときまで、著作物使用料を払えというのは行き過ぎではとも思えます。

 しかし裁判所は、著作物使用料を払わなければならないとしました。
 著作権法には営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、公に上演や演奏ができると定められています。つまり、営利を目的としていたり、又は料金を徴収しているか、いずれかに当たるときには著作物使用料を払わなければならないことになります。

 裁判所は、ダンス教室は受講料をとっているのだから営利を目的としており、ダンスと音楽は密接不可分であるから、入会金や受講料は音楽の演奏に対する対価とみることができると理由づけました。

 類似の事案に、カラオケスナックでのテープ演奏について、演奏が集客を図る営業上の利益を増大させるものであるから営利目的にあたるとして、著作物使用料を払わなければならないとしたケースがあります。(最判S63.3.15)
 たしかに著作権は、基本的人権に直結する性格をもつ重要な権利ですが、財産権的側面は複製権、上演権、演奏権など10を超える権利がすでにぶら下がっており、インフレ化も懸念されます。例えば本事案のような音楽の著作権が、自由に舞踏する権利や自由に歌う権利など、他の権利と衝突するのではと懸念されています。

 国際条約との兼ね合いはありますが、著作権は著作者の権利保護とともに、文化の発展に寄与することを目的としていますので、それらとの調和にも配慮する必要がありそうです。

当事務所がお手伝いします著作物利用実態調査、契約書作成、示談書作成