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【事 案】 メイクのサンプルとして撮影された写真が、出会い系サイトの広告に使われていたときどんな請求ができるか?

【結 論】 モデルの承諾を得ず掲載されたときは、慰謝料を請求できる。(東地判H17.12.16)

 写真家がメイクのサンプルに使うと言ってあるモデルを撮影したが、モデルの承諾を得ることなく公告会社に持込み、アダルト雑誌出会い系サイトの広告写真に掲載したという事案です。
 写真撮影そのものは違法とはいえませんが、その使用がモデルの意思を確認することもなく行われたのですから、明らかに肖像権を侵害した違法な行為といえるでしょう。このようなときにどう法律構成するかといえば、憲法を直接適用するのではなく、民法の不法行為に置きかえて処理します。
 したがってモデルは写真家と公告製作会社を相手として、民法上の不法行為に基づいて損害賠償なり慰謝料を請求することになります。

 本事案では、アダルト雑誌に無断で5か月もの間写真を掲載されたこと、雑誌の発行部数が15万部もあったことが重視されました。このような事態を招いた写真家と公告会社の過失の程度は大きく、またモデルの被った精神的苦痛も相当にあったとの理由で100万円の慰謝料が認められました。
 一般的には、プライバシー侵害に対する慰謝料はそれほど多額になりませんが、本事案では写真の使途が化粧メイクのサンプルとはかけ離れた、アダルト雑誌の出会い系サイトの広告だったこと。そのような用途にするのであれば、モデルはおおよそ承諾しなかったであろうことなどがしんしゃくされ、比較的高額な慰謝料が認められたものと思われます。

 表現の自由とのせめぎ合いがありますが、インターネットアダルトサイトなどにも同様のケースがあるのではないかとも思われます。雑誌とは異なり、ひと度デジタルデータで公開された写真や動画は劣化しないため、相当広汎に広まりかつ永続性をもちますのでホームページ運営者はより注意を払うべきであり、また管理責任もより従来より重くなっていると考えます。

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