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【事 案】 子どもが学校でいじめを受けたとき、どこにどのような請求ができるか?

【結 論】 相手側の親に不法行為による損害賠償を、自治体の首長に国家賠償法上の損害賠償を請求し得る。(京地判H22.6.2)

 学校でのいじめ問題は、刑事事件ともなればマスコミに取り上げられ、またネット上などでも活発な議論を呼んで注目されますが、一般にはあまり顕在化しないと思われます。その背景に責任の所在が学校、教育委員会、自治体の首長そして加害者の親へと広く拡散してしまって不明確になることが挙げられます。

 問題を顕在化させることで、未成年者の保護や被害者子どもへの影響、例えばいじめが更に酷くなるのではないかとの懸念や、加害者子どもの更正の機会を奪ってしまうのではと躊躇してしまうこともあるでしょう。
 しかし、いじめという継続的で有形無形の暴力はある一定程度を越えれば子どもに大きな苦痛を強いることになり、場合によっては自殺にまで追い込みかねない問題であり、やはり勇気をもって取り組む努力が必要だと考えます。

本事案は最近のもので、裁判記録にいじめの内容や背景的事情が詳しく述べられているので取り上げました。
 転校してきた同級生から、執拗ないじめを受けた子どもの精神的・肉体的苦痛が高じて登校拒否になり、あげく転校せざるを得なくなった。そこで被害者は、いじめ行為をした同級生の両親には不法行為による損害賠償を、中学校の設置運営主体である自治体の首長に国家賠償法に基づく請求をした事件です。
 裁判所はいじめの事実を認定し、弁護士費用を含む55万円の損害賠償請求を認めました。被害者側は、同時に転校のために支出した費用も請求しましたが、それは認められませんでした。

 いじめやハラスメントはいつでも、どこでも、誰でも被害者になり得る問題で、どこからがいじめと言えるのか、どうやって発見し、どうやって解決したらよいのかは、個別のケースによって全く違いますので一概にはいえません。裁判で争う以前に解決する方法もあるはずですが、前述のように現場での教員による指導、それを監督する教育委員会、責任をとる自治体という三層構造の下では特効薬的な解決策も見いだし難いと思われます。また民事不介入を原則とする警察力に頼るといっても、脅迫、暴行、傷害など刑事上の事件性がなければ被害届や告訴を出してもなかなか動いてくれず、逆に虚偽告訴などで訴えられるリスクもあります。

 いじめだと思われるときは、現場の教員に相談して対応を願うことはもちろんですが、民事的手続を使っていじめを防止・抑止していくことを検討すべきではないでしょうか。

当事務所がお手伝いしますいじめに関する事実調査・資料開示請求・資料作成、相手と自治体への損害賠償・慰謝料申し入れ、いじめを止めることの示談書作成