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【事 案】 あなた(甲:東京)と乙(大阪)がした契約で、「甲乙間に生じる一切の紛争の管轄は東京地裁とする」とした合意は有効か?

【結 論】 契約書で決めた裁判所の合意は、無効になる可能性があります。

 裁判所の管轄の合意は、契約書の条項によく見受けられます。

 正しくは『本○○契約に関する訴につき、甲の住所地を管轄とする裁判所を第一審裁判所とする』となります。
 では「一切の紛争」と「本○○契約」の違いはどこにあるか、これは条文を意識して条項を書いたかどうかです。

 契約の当事者は第一審に限って管轄裁判所を合意で定めることができます(民事訴訟法11条)。しかし同条第2項では、①「一定の法律関係」に基づく訴えであること、②合意が「書面で」なされることを要件としているのです。
 「甲乙間に生ずる一切の紛争」ではあまりにも莫としすぎていて「一定の法律関係」が特定できず、一方の利益を不当に害するおそれがあります。

 もし仮に契約書で、「甲乙間に生じる一切の紛争」とした合意が有効だとすれば、甲であるあなたは、大阪での裁判を強いられ大きな負担を負わねばなりません。
 これでは、そもそも裁判以前に公平を欠くことになります。

 ただ、何が「一定の法律関係」にあたるかは、契約の内容全体をみて判断しなければならず、「法律上の解釈」の問題になるので裁判所の判断が優先されます。
 有効か無効かは、一方当事者の思いこみが認められるとは限りません。

 国際裁判でも裁判所管轄について、アップル社と日本の下請業者の間で争われ、東京地裁はアップル社の主張を退けました(東地H28.2.15)
 契約書の「あらゆる紛争は米カリフォルニア州の裁判所で解決する」との条項は、範囲が広すぎ無効であると認定されたのです。

 いずれにしましても、最近インターネットで契約書のひな形が検索・利用できるようになって大変便利になりましたが、契約書面を作るときは、後日の紛争を防止するためにも専門家のチェックを受けるようお勧めします。

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