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【事 案】 交通事故などの不法行為の加害者になってしまったとき、被害者への謝罪は必要か?

【結 論】 著しく不誠実な態度で謝罪が不十分なときは、慰謝料が増額されることがある。(大地H21.1.13、東高H21.2.26)

 交通事故などの加害者になってしまったとき、被害者に謝罪すべきかどうか。下手に謝るとより大きな責任を問われるとか、足元をみられそうだといった心配から、その後の手続を全て保険会社や弁護士に任せて、自分は被害者の前に立たず謝罪しないという方もおられます。
 謝罪の有無や対応の誠実性などは、刑事上あるいは行政刑罰上は直接的には作用しませんが、それが民事裁判で考慮される場合があります。

 本判例はいずれも平成21年のものです。大阪地裁の事案は、自転車で通勤途中の23歳女性に車で衝突し、脳挫傷と左脚に入院16日、通院6か月のケガを負わせたものです。加害者は、事故後全く見舞い等を行わないばかりか、裁判が始まった後に女性の職場に突然押しかけて、女性が保険金を受け取ったことは保険金詐欺になるかもしれないなどと言ったことが指摘されました。
 裁判所はこれらの加害者の行為を、被害者の心情に対する配慮を全く欠いたものだとして、全体で900万円の慰謝料を認めました。

 一報東京高裁の事案は、自動二輪車で走行中の43歳の男性に、脇見運転の無保険車を運転して衝突し、大腿骨骨折、下腿骨開放骨折等で入院約6か月、通院約6か月のケガと併合4級相当の後遺障害を負わせたものです。加害者は被害者に対して事故後全く謝罪をせず、裁判に至るまでいわゆる「あたり屋」であるなどと主張していました。
 裁判所はこれらの加害者の行為を、自らの責任を否定し、著しく不誠実な態度に終始しているとして後遺障害慰謝料全体で1,800万円の支払を命じました。
 加害者は無保険車両だったため、損害賠償や慰謝料は被害者が加入していた自動車契約の無保険車傷害条項により支払われることになりましたが、慰謝料の算定は事故後の事情等一切を斟酌してされるものであり、加害者の対応等が損害額を算定するに当たっての考慮事由から除外されるものとは解されないとの理由で保険会社に支払いを命じました。

 たしかに事故現場において、全ての責任を負いますなどと一筆書いてしまってはいけませんが、後々当事者間で示談するにせよ調停や裁判までもつれ込むにせよ、加害者の誠意ある謝罪というのは日本社会ではやはり大切なことと考える必要があります。
 ちなみについ最近、取引先の方が、後ろからChineseの方が運転してきた無保険車両に追突され、その後始末にずいぶんとご苦労されているとのこと。このような謝罪以前の問題、相手の過失割合が100%の被害者になって泣き寝入りとならないよう、コストはかかっても、無保険車傷害条項がついた保険に加入しなければならない時代になったようです。

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