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【事 案】 小型犬が近づいたため、自転車の子が転倒してケガをしたとき犬の飼い主は責任を負うか?

【結 論】 どのような種類の犬であっても子どもがこれを怖がることはあり、飼い主は損害賠償責任を負う。(最判S58.4.1)

 7歳の女の子が、飼い主の手を離れたダックスフント系の犬を避けようとして道路の側溝に自転車もろとも落下し、片方の目を失明した事案でした。女の子は普段から犬嫌いであったこと、飼い主の手を離れた犬が女の子に近寄ったことから自転車の操作を誤って事故になったものです。
 犬が吠えたわけでもなく、自転車をすり抜けられる程度の道路で、自転車は買って貰ったばかりで操作に慣れていなかったという事情もあり、すべて飼い主の責任とするのもどうかという意見もありました。

 しかし裁判所は、7歳の児童であれば犬種を問わず小型犬であっても怖がる者があり、犬が飼い主の手を離れればこのような事故が起こることは予想できるはずだとの理由で、飼い主への損害賠償を認めました。
 法律上は動物の占有者、つまり犬を連れていたものがまず責任を負うとされています。この事件では飼い主が犬を連れていたので、飼い主が動物の種類や性質にしたがった相当な注意を払っていたことを証明しない以上、損害賠償をしなければなりません。
 動物の種類や性質にしたがいということなら、小型のダックスフントは大型犬よりも注意の程度は小さくともよいとも思われますが、本事案では手を離してしまったというのですから、被害者が犬嫌いであれば結論としては犬種には左右されないでしょう。

 本事案と同じく飼い主の手を離れた犬にまつわる事件に、横断歩道上でパピヨンが車にはねられ死亡したものがあります(大地判H18.3.22)。
 飼い主は犬の価額や、セラピー犬として飼われていたことによる慰謝料などを車の運転者に請求し、36万円が認められました。一方の運転者は、飼い主に対して車の修理費などを請求し22万円が認められました。
 ただし、犬が条例に違反してつながれていなかったこと、信号が赤だったことなどから飼い主8割、運転者2割の過失相殺が認められ、最終的に双方に命じられた支払い額は運転者約7万円、飼い主約18万円となり(弁護士費用除く)車の修理代の方が高くつきました。

 他にペット犬に関わる事案として、老女が背後から犬に吠えられたために転倒したケース、土佐犬が幼児をかみ殺した事案では飼い主に犬の飼育場を提供した者にも責任を認めたケースなどがあります。
 いずれにせよ小型犬であっても、リードをつけていても動物の管理には十分注意なさるようお勧めします。

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