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【事 案】 助手席の同乗者が内縁の妻だったとき、女性分の自動車保険金を請求できるか?

【結 論】 運転手の配偶者に対する損害については免責されるとの約款がある場合には、請求できない。(最判H7.11.10)

 保険会社が任意保険で設定した、配偶者には保険金を支払わないという免責条項の配偶者に、内縁の妻も含まれるかとの問題に対して、裁判所は含まれるから保険金は支払わなくともよいと判示しました。
 配偶者を保険の対象から外す理由として、夫婦間においては一般的に運転者と同乗者とのあいだでは損害賠償請求はなされないこと、また配偶者もその自動車を利用する頻度が高いということを挙げ、それは内縁配偶者も同様であるとしました。
 これは形式的な夫婦関係より事実上の関係を重視したものといえます。

 ただ内縁関係といっても様々な形態、程度があります。男女関係を交通事故の損害賠償の判断に持ち込むと問題はとても複雑になりますので、それは慎重にすべきと考えます。

 運転手と同乗者の関係については、もうひとつ面白い判例があります。
 いわゆる被害者側の過失と呼ばれているもので、被害者妻本人と身分上、生活関係上、一体をなすとみられるようなときは、運転者が夫であれば夫に対して過失責任を問えないというもの(最判S51.3.25)。婚姻関係になく形式的に内縁関係であっても、婚姻関係となんら変わらない場合には損害賠償請求ができないことになります。逆にいうと形式上は夫婦であっても、婚姻関係が破綻しているような場合には、妻は夫に損害賠償請求ができることになります。

 前の事案は保険会社の免責条項における配偶者の解釈、後者は不法行為における過失相殺の話なので適用場面が若干違いますが、いずれも事実上の男女関係を重視している点が共通しており、この解釈は相続問題にも影響を与えています。

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