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【事 案】 交通事故で亡くなった家族の、墓の設置費用や仏壇購入費用は損害賠償請求できるか?

【結 論】 必要かつ相当と認められる限度で請求できる。(最判S44.2.28)

 墓や仏壇が、将来にわたって家族や子孫の霊をも祀るためのものであれば、利益が将来に残るから全額を請求することはできないとしつつ、裁判所は必要かつ相当と認められる限度で因果関係を認め、請求できるとしました。

 とくに刑法では因果関係の証明は厳しく求められ、ある特定の結果がある特定の原因からしか生じない、たとえば拳銃で心臓を撃ち抜かれて死んだというのなら明らかに因果関係はあります。しかし高血圧の被害者が殴られたあと、近くの公園に放置されて死んだ場合や殴られたあとで医者が医療過誤をしたようなときには、因果関係の証明は非常に難しくなります。

 民法でも因果関係が明らかな場合には逸失利益、慰謝料などの損害賠償は認められますが、それはどの範囲まで及ぶのか。墓や仏壇と交通事故との間に因果関係を認められるのかなどが問題になります。現実的には1か0かの判断ではなく、原因と結果に社会通念上相当な関係があると認められるときに因果関係は認められ、この事案は墓や仏壇の費用を、限定的ながら交通事故の間に通常生ずべき損害の範囲にあるとしました。
 なお、どの程度の補償が認められるかについては、死者の年齢、境遇、家族構成、社会的地位など諸般の事情を考慮するとされており、裁判所の裁量の余地を残しています。

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