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【事 案】 ひとつの事故で相手と自分の双方に過失があるとき、損害を相殺できるか?

【結 論】 双方に責任があるときは、相殺できない。(最判S54.9.7)

 例えば1,000万の債権を持っている貸金業者が、債務者を殴って治療費100万円のケガをさせた(俗に言うお礼参り)としても、加害者である貸金業者は、1,000万円からケガの治療費100万円分を差し引いて借金を900万円にしてやるとは言えません。これは民法509条の条文どおりです。

 では双方に過失がある交通事故ではどうでしょうか、過失相殺を認めて損害の差額分をそれぞれ相手に支払った方が、授受する金額が少なくて済むので円滑に処理できるのではないかとも思えます。
 しかし裁判所は、双方に責任がある場合であっても相殺は許されないと判示しました。

 その理由は、損害賠償は被害者救済を優先すべきだからです。
 たしかに公平かつ適正な相殺をするためには、まず当事者双方にどの程度損害があったかを確定しなければなりません。さらにそれぞれの過失責任の大きさを評価し、相殺の基準(過失相殺基準)をつくって合意する必要がありますが、それにはとても時間がかかります。
 また双方が同じぐらい裕福とも限らないので、お金に困っている方は不利な条件でも合意してしまうかもしれません。
 そこで例え双方に過失があったとしても相殺は認めず、現実に損害賠償をさせることで被害者救済を優先するのが法の立て前になっています。

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